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商号・事業目的・本店所在地・事業年度・資本金・出資者・役員・株式譲渡制限・機関設計など
基本事項の決定
2. 類似商号・事業目的の確認
会社設立予定地の近辺に類似の会社がないかを確認
事業目的は(1)明確性(2)具体性(3)営利性(4)適法性を満たしているか確認
事業を始めるにあたって許認可の取得は必要か確認
類似商号調査に問題がなければ会社代表印を作成
発起人(出資者)・役員の印鑑証明書を必要部数取得
4. 定款作成・認証
会社の基本(ルール)となる定款を作成
作成した定款を公証役場で認証 ※電子定款認証の場合、印紙代4万円は不要
5. 資本金の払込
定款認証後、定款記載の金額を各出資者が払い込み
6. 登記申請
会社設立に必要な全ての書類を作成し、資本金払込後2週間以内に管轄法務局に登記申請
7. 会社設立後の届出
登記簿謄本・印鑑証明書の取得
法人口座の開設
会社設立後に税務関係の届出・社会保険、労働関係の届出を行う
step1
まず初めに、株式会社設立にあたって事前に決めておかなければならない基本事項を決定します。この段階は非常に重要で、今後の事業展開なども考慮しつつ時間をかけて決めると良いでしょう。会社設立後もこれらの事項を変更することが出来ますが、重要な事項は登記をしなくてはならず、時間と費用がかかりますので、無駄を無くすために会社概要は時間をかけてお考え下さい。
本店所在地とは、会社の場所、つまり会社の住所と言えます。本店所在地については特に制限がなく、自宅の住所でも賃借した事務所の住所でも構いません。但し、賃借した物件を本店所在地とする場合には、予め大家(若しくは不動産屋)に会社の事務所として使用してよいかどうか確認しておく必要があります。賃貸借契約上、事務所としての使用を禁止している場合もありますので、注意が必要です。
定款に記載する段階では、「東京都渋谷区」という風に番地など記載せず、最小行政区画までの記載にしておくことも出来ます。このように記載した場合は、登記申請までの間に細かい部分まで決めておけば良いと言えます。このような記載にする理由としては、同じ区内で本店移転をする場合に、定款変更をする必要がないからです。定款に細かい本店所在地の記載をしてしまうと、本店移転の際に定款変更をしなくてはならず、手間がかかりますので、実務上、定款には最小行政区画までしか記載しないのが通常です。但し、他の区や地域に本店移転する場合は定款を変更しなくてはなりません。
事業年度は、会社の決算期をいつにするかで決まります。決算期は1年を越えることが出来ません。1年以内であれば期間を自由に決めることが可能です。
初年度の事業年度は会社設立の日から決算期末日までとなります。
資本金の金額は安易に決めてはなりません。新会社法では最低資本金規制が廃止され、資本金については1円でも可能となりましたが、安易に資本金を低く設定すると会社の経理上問題が発生します。
例えば、資本金1万円で会社を設立したとして、2万円の社長用のイスを会社で購入しようとした場合、1万円お金が不足します。そこで、社長個人のポケットマネーで不足したお金を出したとしても、会社の経理上は借入金という形になってしまいます。その場合は、会社と社長個人との間で「金銭消費貸借契約」を交わしたことになり契約書を作成したりと面倒な手続や作業が増えてしまいます。資本金は、会社として初めての売上げが上がるまでの運転資金なども考えた上で決める必要があります。
その他にも、資本金は融資を受ける際の参考にされることも多いと言えます。
また、許認可によっては、許可を取得するためにある程度の金額があった方が申請が楽に場合もあります。
税務面のことを考えるならば、「消費税納税義務の免除」の利用も検討する必要があります。
「消費税納税義務の免除」とは、資本金1000万円未満の会社は、最初の2期分、消費税の納税が免除されることを言います。逆に。資本金1000万円以上の会社については免除されません。この制度を利用し、第1期の事業年度をなるべく長く設定すると会社設立時の消費税納税義務免除の効果を最大限利用できることになります。
株式会社は利益を生み出すためのお金を出資する人(株主)に権限が与えられるシステムとなっております。自分一人が出資をして株式会社を運営していくのであれば何ら問題はありません。しかし、他人の出資を受ける場合は十分に資本政策に注意しなくてはなりません。
あなたが立ち上げた会社をあなたがオーナーとして自由に経営をしたい場合、自分自身の出資割合は最低3分の2以上にする必要があります。会社の議決権の3分の2以上を自分が持っていれば、会社にとって重要な事項を全て自分一人で決議することが可能です。
3分の2以上を確保することが難しい場合は、過半数の議決権を持っておくと良いでしょう。過半数の議決権があれば役員(取締役、監査役等)の選任・解任の権限を持つことが出来ます。過半数以上の議決権を持っていればまだあなたの会社と言うことが出来ます。
3分の1以上過半数未満の議決権を持っている場合は、会社の重要事項の決議を拒否できる程度でしかありません。単純に3分の1未満は、株主としての権限はそれ以下だとご理解下さい。これではあなたの会社とは到底言えません。
このように出資の割合に応じてあなたの立場も変わりますので、あなたが会社の代表取締役であってもいつ解任されてしまうか分からない不安定な状態とならないように、出資割合(資本政策)には十分注意して下さい。
もし、どうしても自分で出資金の準備が出来ないという場合は、第三者に出資をして頂くのではなく、個人としてお金を借りることが出来れば自分自身の出資割合も確保することができますので、検討してみて下さい。
役員の任期は長ければ良い訳ではありません。従来までは、取締役2年、監査役4年と任期が決まっておりましたが、新会社法の施行により株式の譲渡制限のある非公開会社の場合、最長10年まで役員の任期を伸長することが出来るようになりました。
今までは2年に一度は同じ人が取締役を継続する場合にも重任登記をする必要がありましたが、非公開会社の場合は任期を10年にすることが可能となり、面倒な登記申請手続を省き、登記にかかる印紙代を節約することができます。
取締役が1名で今後も役員を増やす予定の無い経営を考えている場合や、役員は全て親族で構成するつもりである場合は、役員の任期を10年にしても支障はないかと思います。
しかし、取締役が複数いて、身内ではない第三者を取締役に就任させる場合は注意が必要です。
取締役を任期の途中で何らかの理由により解任しようとした場合、解任するには正当な理由が必要となります。会社のお金を横領したなどであれば正当な理由となり得ますが、経営方針の相違などは正当な理由とは言い難く、無理な解任をしてしまうと、その取締役から任期満了までの残存期間に得られる役員報酬分などを損害賠償請求される可能性があります。「取締役としてもらえるはずの役員報酬が、不当な解雇によりもらえなくなってしまったので、その分を補償しろ」ということになります。実際の金額は裁判で裁判官が決めることになりますが、不当に解雇された取締役は上記請求が可能ということを見落としてはなりません。
会社の機関設計は10種類以上ありますが、ここでは、会社設立時に多く利用されている2つのケースを挙げておきます。
step2
商号とは会社名のことを言います。商号は、同一住所で同一商号の場合は使用することができません。また、使用できる文字にも制限があり、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字のみ使用できます。社名の最初又は最後には「株式会社」と付けなくてはなりません。その他、銀行ではないのに銀行という言葉を用いることが出来ないなど、一定のルールがあります。
事業目的とは、その会社が何を行っていくのかという事業の内容になります。会社を設立する場合、何か会社で行いたい事業があることが普通ですので、それらの事業内容を目的に記載します。
注意すべき点は、事業を行うにあたって各種許認可が必要な業種については忘れずにそれらの事業目的を記載することです。許認可は、事業目的に許認可を取得しようとする業種の記載をすることが条件である場合が多く、これらの記載を欠くと、後々定款変更や登記を余儀なくされ、余計な費用と時間をかけることになってしまいます。
会社設立後に許認可の取得が必要な業種については、事前に許認可を申請する官公庁に事業目的の記載方法等について確認すると良いでしょう。
他にも、会社設立後すぐに開始する予定のない事業でも、将来的に展開しようとしている事業があれば、それらについても記載しておいた方が良いと言えます。但し、全く関連性のない事業目的を意味も無くたくさん記載すると、事業内容が不明確となり、融資や会社取引の際に良くない印象を与えることがありますので、注意が必要です。
最後に、新会社法の施行により、従来より事業目的の包括的な記載が認められるようになりましたので、新会社法施行前に比べて表現方法などに気を遣う必要がなくなりましたが、出来る限り自社が何をやっている会社なのかを明確に伝えるために「明確性」「具体性」「営利性」「適法性」が満たされるように心がけましょう。
いくら従来よりも表現方法が緩和されたと言えども、法務局や登記官によって判断が異なる場合があるので、登記できず手続のやり直しが無いように、上記条件を満たすように記載した方が良いと言えます。
事業目的の表現方法に不安を感じている方は、直接法務局に相談・確認すると良いでしょう。
step3
商号調査が終わり、会社名が決まったら印鑑の作成を行います。
会社の代表者の印鑑です。設立手続において絶対に必要となる印鑑で必ず作成しなくてはなりません。言わば会社の実印で、印鑑証明書の印影となります。会社代表印は各種許認可の申請等手続関係や契約書に押す印鑑として非常に重要なものとなりますので、管理には十分気を付けて下さい。
市区町村役場などで個人の実印を登録している場合に発行して頂けます。印鑑証明書が必要な人が実印の登録を行っていない場合は、個人の実印の登録から行って下さい。印鑑証明書は、定款認証、登記申請の際に提出する日から3ヶ月以内に発行されたものでないといけません。設立手続で出資者や役員の住所・氏名を記載する場合は、印鑑証明書に記載されている住所・氏名でなくてはなりません。
出資者 | 各1通 | |
取締役全員 | 各1通 | 取締役会を設置しない場合 |
代表取締役全員 | 各1通 | 取締役会を設置する場合 |
step4
定款とは、会社の目的や組織などの根本規則を定めたものを言います。定款には絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項と3つの記載項目があります。会社設立時においては、一般的な雛形を利用される方がほとんどですが、会社の実情に合わせて個別に検討するのが理想的と言えます。
定款の作成が済んだら公証役場で定款の認証を受けます。定款認証事務は、同一都道府県内の公証役場ならどこでもいいのですが、都合の良い公証役場を事前に調べ、日時を公証人と電話で打ち合せておくと良いでしょう。
公証役場に出向く人は、原則として発起人全員となります。発起人の全員が行けない場合は、委任状を作成し、発起人の一人に委任するか発起人以外の第三者(行政書士など)に委任する方法があります。行政書士に電子定款認証の代理を委任すれば、自分で定款を認証するよりも4万円安く認証手続を済ませることができ費用を節約することが出来ます。
(1)定款3通
(2)発起人全員の印鑑証明書各1通
(3)公証役場に出向く人の実印 ※代理人の場合は、代理人の実印
(4)収入印紙4万円分 ※当事務所が定款認証を行う場合、この収入印紙4万円分が不要となります。
(5)現金52,000円
(6)委任状
(7)代理人の印鑑証明書、身分証明書(免許証など)
※公証役場により異なりますので、事前に確認して下さい。
株式会社を設立するには、定款を作成し、公証役場で「定款認証」を行います。定款認証の際には、定款に4万円の収入印紙を貼ることになります。従来は定款を紙で作成し、公証人のチェック(認証)を受けてきましたが、この定款をフロッピーディスクに収めた形にし、公証人もデータ上でその定款を認証するという形を取ることが出来るようになりました。従って、紙による定款認証よりも電子定款による認証の方が安く定款認証を行うことが可能となります。
しかし、ご自身で電子定款認証手続きをしようとすると、システムを導入するだけでも10万円近くかかります。また、面倒なシステム導入の手続きが必要になるので、手間もかかり、現実的ではありません。
そこで、電子定款認証に対応している行政書士などに定款認証を依頼すると、大体1万5,000円から2万円程の報酬を支払うことになりますが、印紙代4万円が不要となり、トータルするとご自身で手続をするよりも約2万円程安く定款認証が行えるということになります。
通常の定款認証 (ご自身で行う場合) |
電子定款認証 | |
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収入印紙代 | 40,000円 | 0円 |
認証手数料 | 50,000円 | 50,000円 |
謄本交付手数料 | 約2,000円 | 約2,000円 |
合計 | 92,000円 | 52,000円 |
step5
定款認証後、定款記載の金額を各出資者が金融機関に払い込みます。金融機関は特に制限がありません。また、会社のメインバンクとする金融機関に払い込む必要はありません。資本金を払い込む金融機関は従来から個人で使用している口座で構いません。個人のお金と会社の資本金とが混ざらないように別の口座を開設してもいいかと思います。
step6
会社設立に必要な全ての書類を作成し、資本金払込後2週間以内に管轄法務局に登記を申請します。会社成立の日付は、登記申請をした日となります。登記申請書には必ず連絡先を記載するようにして下さい。いくら完璧と思って書類を作成したとしても誤字・脱字などをしてしまうことがあります。そういった際は法務局の方から連絡をもらえるように日中連絡のつく携帯番号などを記載しておくと良いでしょう。書類の不備などに不安をお持ちの方は法務局で登記を申請する前に、書類の確認をお願いすると良いかもしれません。
step7
補正日までに法務局から連絡がなければ登記が完了していることになります。登記が完了すると登記簿謄本(全部事項証明書・履歴事項証明書など)が取れるようになります。謄本は銀行口座を開設する際、融資を受ける際、税務署などの官公庁に届出を行う際、許認可を取得する際など、様々な場面で必要になります。
謄本は、提出する際に発行後3ヶ月以内のものを要求されることが多いため、多くとりすぎても無駄になりますので、大体3通~5通程取得しておくと良いでしょう。謄本は1通につき1,000円となります。
登記が完了すると会社の印鑑証明書も取得することができます。印鑑証明書を取得するためには印鑑カードを作成しなくてはなりません。印鑑カードは法務局にある印鑑カード交付申請書に会社代表印を押して法務局に提出すれば作成して頂けます。印鑑証明書は1通につき500円となります。
登記簿謄本と印鑑証明書が取得出来たら法人口座を開設することが出来ます。口座開設に必要なものは、口座を開設しようとする金融機関に電話すれば教えて頂けます。一般的には、会社代表印、印鑑証明書、登記簿謄本、免許証などになります。
会社設立後の各役所への届出は「会社設立後の届出」をご確認下さい。